人間とは「ないものねだり」をするものだ。
人間は強欲なもので、自然と「あれもこれも欲しい」と思ってしまうものである。
私もミニマリストになってから数年が経ち、物欲を耐える日々を送ってきた。
あれが欲しい、と思ったときは、そのモノを持つことのメリットとデメリットを挙げて比較することで、物欲に対処している。
しかし、物欲が収まらないのである。
私は成人した際に、自分へのお祝いとして腕時計を買った。
ハミルトンの「ベンチュラ」という時計だ。
Ventura Quartz Watch - Black Dial - H24411732 | Hamilton Watch
この三角(盾形)の文字盤が頭から離れず、数年購入を迷った末に手に入れた。
しかししばらく経った今、また「新しい腕時計が欲しい」と思っている。
いま文面にしていて感じたが、もはやこの物欲というのは病的ですらある。
そろそろ本格的に物欲への対処をしなくては、と思い私が実施したのは
「あえて腕時計を手放してみる」ということだ。
手放す、といっても 売ったり捨てたりするわけではなく、しばらく付けないで生活してみるということだ。
ミニマリストの名著、「ぼくたちに、もうモノは必要ない」の中でも、
「物欲の正体は『飽き』である」と言われているように、
ぼくたちに、もうモノは必要ない。 増補版 (ちくま文庫) | 佐々木典士
今持っているモノに飽きるからこそ、新しいものを欲しいと思ってしまうのだ。
だからいっそ、飽きたものを手放してみることにした。
期間は一週間。
手放して2日目、この日は大学だった。出かける際に腕時計を付けないことに違和感がある。
4日目、出かける際鏡を見ると、腕時計をしていないとファッションに締まりがなくなることに気付く。
5日目、AmazonPrimeで「Men in Black」視聴。
アメリカのSFアクション映画なのだが、ここの工作員はハミルトンの「ベンチュラ」を装着しているのだ。
登場シーンは僅か数秒であるが、三角のフォルムがSFのイメージにぴったりで、惚れ惚れしてしまった。
ハミルトン『メン・イン・ブラック™ : インターナショナル』フェア
こうして一週間が経過した。
結果としては大成功。
5日目から早く取り戻したくてうずうずしていたし、
取り戻してから数日たった今でも、文字盤を見つめてしまうほどだ。
手に入れた時に戻ったかのようである。
この「あえて手放してみる」というのは、他のモノにも応用できる。
鞄やエアコン、アクセサリーなどを一日だけでも使わないで生活してみると、
そのありがたみを再確認し、より愛せるようになる。
人間とは「ないものねだり」をするものだ。
家族や恋人もそうだが、失ってはじめて、居てくれることのありがたみが分かるのである。